"Begin Again" Fred Hersch / Wdr Big Band

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Fred Herschの新作は、ビッグバンドとの共演。
Fred Herschも、最近あまり気にせず全部買いしているので、この作品の意義とかあまり気にせず買いを決めてますが..。
これまで聴いてきたFred Herschのアルバムは大半がソロかトリオで、菅との共演がAnat Cohenとのデュオ作だけを聴いています。
 "Live In Healdsburg"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64454087.html)

ということで、本作でのビッグバンドと共演することで、どんなFred Herschの魅力が出てくるのかが、一般的には興味の的になるんでしょう。
ちなみに、演奏曲はすべてFred Herschのオリジナルです。

メンツは以下の通り。
Fred Hersch(P)、
Paul Shigihara(G)、John Goldsby(B)、Hans Decker(Ds)、
Johan Horlen(As)、Karolina Strassmeyer(As)、Olivier Peters(Ts)、Paul Heller(Ts)、Jens Neufang(Bs)、
Ludwig Nuss(Tb)、Andrea Andreoli(Tb)、Andy Hunter(Tb)、Mattis Cederberg(Tb,Tuba)、
Wim Both(Tp)、Rob Bruynen(Tp)、Andy Haderer(Tp)、Ruud Breuls(Tp)、

演奏曲は以下の通り。すべてFred Herschのオリジナル。
01 Begin Again
02 Song Without Words, No. 2: Ballad
03 Havana
04 Out Someplace (Blues For Matthew Shepard)
05 Pastorale
06 Rain Waltz
07 The Big Easy
08 Forward Motion
09 The Orb (For Scott)

管楽器を多めに配しながら、あまり厚みを出さないように慎重にコントロールされた端正なハーモニーで、柔らかめな曲調にふくよかさを醸していくようなそんな演奏が、繰り広げられる。
これが、すべてのアレンジを担っているVince Mendozaの考えるFred Herschの魅力を引き出す作法ということなんでしょう。

Fred Herschのピアノのタッチも、他の楽器と対抗することなく打鍵をあまり強く出さずに全体に強いインパクトを残さないようにしていて、これもFred Herschのアイデンティティを生かしたアレンジの妙といえそう。

Fred Herschの孤高のピアニズムをどっぷりたっぷりと堪能するにはビッグバンドで音数が増えていることが大きな弊害にはなっていると思う。
これはどうしようもないところだと思うが、Vince Mendozaの秀逸なアレンジで、Fred Herschの曲作りでのセンスの良さだけでなく、演奏でみせるセンスみたいなものまで表現しようとしているとしたら、それは果敢な挑戦と言えそう。

まぁ、成功しているかまでの言及はここではしないようにしますが…。

ベストは、4曲めにしましょう!


"Begin Again" Fred Hersch / Wdr Big Band(https://www.amazon.co.jp/dp/B07PTQLSLD/)

この記事へのコメント

photofloyd(風呂井戸)
2019年08月09日 21:07
 私は Fred Hersch とビック・バンドいうのは全く想像しても納得の世界ではない。そんなことからこのアルバムだけは手を付けてありません。
 ここで感想を拝見して、"やっぱり"と思いました。これはこれとして彼の復活のエネルギーの一つの形として温存しておきます。感想聞かせて頂いて有り難うございました。
oza。
2019年08月12日 20:30
>風呂井戸さん
あとから冷静に考えると、作曲能力に焦点を当てるのと、演奏能力の魅力に焦点を当てるのとで、作り手としては作品の作り方、聴き手としては評価の指標、に変化が出てくるのは(頭では)理解できまして..。

Fred Hersch の魅力のうちの作曲面に焦点を当てれば、この作品の存在意義も理解できるなぁとは思いました。(あくまでも頭では)

逆説的には、この作品の魅力がしっかり理解できたときに、Fred Hersch の魅力の全貌が理解できた言うことなのかもしれないとも思ったりして。。
奥が深いでです。。。